それでもボクはやってない
![]() | それでもボクはやってない スタンダード・エディション [DVD] (2007/08/10) 加瀬亮;瀬戸朝香;山本耕史;もたいまさこ;役所広司 商品詳細を見る |
監督:周防正行
出演:加瀬亮、役所広司、瀬戸朝香、もたいまさこ、山本耕史
面接へ向かう途中の満員電車の中で痴漢といわれつかまった主人公。必死で無罪を主張するが、突き刺さる現実。無罪を勝ち取るための裁判が始まる。
二時間半の長い映画ながら、一切無駄がない。ほとんどない。ボクは寝る前に若干眠かったので、鑑賞中に寝てしまうのではないかという心配があったのだが、そんなことはなかった。二時間半を通して目はどんどん冴えていく一方だ。
反面、見終わった後に一気に頭が痛くなった。これはとてもよい映画だが、同時にとても疲れる映画だ。二時間半無駄がないということは、二時間半の緊迫感が続くわけだからね。というか今もまだ痛い。
これは人間のドラマというわけでもなく、真実を追究する熱い心のドラマともまた違う。徹底した現実を描いた裁判のドラマであり、監督自身がそういっているので言葉をお借りいたしますが、「裁判が主役」だ。そしてその裁判さんを通して、コレでもかというくらいに冤罪の恐怖が伝わってくる。だがそれは演出でもなんでもなく、そういう事実が現に横行しているんだよ、という提示にすぎない。
その中で、弁護士役の役所広司を通して現在の裁判制度や刑事制度に対する疑問や不信感を丁寧に説明してくれる。そういうことだったのか。そんなことが日本ではおきていたのか。映画以外の部分に存在する現実についても同時に考えたりする。
幸いにもボクは痴漢冤罪はおろか、それ以外の犯罪に巻き込まれたことのない一般人だ。だが、そんなボクにもわかるレベルでのリアルの描写は、徹底した監督のこだわりと作りこみの賜物だ。
ただの画面の中の出来事とは思えない。常に恐怖という名の正義がどこかで起きている。そりゃ頭も痛くなる。
イーストウッドの名作のひとつであるパーフェクトワールド風に言うと「この世は完璧、システムに間違いはない」なんてことを本当に信じられるかという。裁判というシステムに対しての問題提起をボクみたいな無知にも分かりやすく提示してくれるとてもいい映画だ。
- [2009/11/26 23:00]
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自転車泥棒
![]() | 自転車泥棒 [DVD] FRT-160 (2006/12/14) ジーノ・サルタマレンダ/ランベルト・マジョラーニ/リアネーラ・カレル/エンツォ・スタヨーラ 商品詳細を見る |
監督 ヴィットリオ・デ・シーカ
出演者 ランベルト・マジョラーニ
第二次世界大戦後のイタリア。不況に荒れるローマの街。二年ぶりに仕事にありつくことが出来たアントニオだったが、その仕事には自転車が必要不可欠だった。シーツを質に出し、これまた質に出していた自転車を取り返すアントニオ。ところが、その仕事初日で自転車が盗まれてしまう。アントニオとsの息子ブルーノの二人は自転車を探してローマの街を彷徨うが…
この映画はとにかく全編にわたって不況による暗さが描かれている。いや、不況を表現しているというか、不況そのものをカメラに写している。主人公はもちろん、職業安定所に群がる人たち、質屋に群がる人たちやそこに預けられた物品の山、占い師に救いを求める人たち、そして自転車を盗む人たち。
不況といえば、真っ先に連想できることがありますね。そうです現代です。まあそれがいいたかっただけで、とくに比較をしようとは思っていないですが。今現在の不況の時代にこの映画を観るとある意味それだけで暗い気分になります。いやこういう時代に見なければその意味も半減するのかもしれない。僕は当時のイタリアを知らないが、どうやらこの映画が撮影された時期のイタリアは、この映画の中のイタリアと同じ状況だったらしい。
観ればわかる。この映画の中はとてもリアルな世界だ。全編ロケの映画だというだけあって1948年のローマという街自体が渦巻く暗い社会を形成している。その光景を見るだけでも、なにかしら心に訴えかけてくる何かを感じる。
観る人によって変わるかも知れないが、僕はこの映画は息子ブルーのからみた父親の映画だと思う。あるいは、父親アントニオから見た社会の不条理の映画かも知れない。息子は父親を見つめ、父親は不条理を見つめ、不条理は街の中に包まれる。だからあるいは三つの物語が同時に進行している映画かも知れない。とにかく、僕はその中でも息子の視点が強く映ったということだけど。
自転車探しの中で徐々に変わっていく父親の姿はとても悲痛である。
この映画の主役親子は素人をオーディションで選んだものらしいが、アントニオ役のランベルト・マジョラーニは、劇中と同じでスカウト当時は失業中の身だったということだ。その生々しさが素人とは思えない感情表現に成功している。これはもとより演技力があったこともあるのだろうが、それ以上に当時のローマのもつ力の表れなのかもしれない。
- [2009/11/25 23:00]
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ビッグ・リボウスキ
![]() | ビッグ・リボウスキ【廉価版2500円】 [DVD] (2006/01/27) ジェフ・ブリッジス 商品詳細を見る |
ジェフリー・リボウスキ自称”デュード”は、同姓同名の富豪と間違われ、借金取りに襲われる。絨毯に小便をかけられた弁償をしてもらうため、もう一人の金持ちビッグ・リボウスキを尋ねたデュード。まんまと高級絨毯は手に入れたものの、この出会いがきっかけで、ビッグ・リボウスキの妻バニーの誘拐事件に巻き込まれることに。ボウリング仲間のウォルターやデニー、その他怪しい人物を巻き込み、事件は複雑でめちゃくちゃな展開へ…
コーエン兄弟の映画は、だいたいにおいて日々の生活で映画くらいしか楽しみがない僕のような若者にとってはとてもありがたい存在である。
まったくかみ合わない会話や、頭のおかしい登場人物、人のクズのような連中に、それらから感じる不思議な魅力。
ストーリーそのものは多分ややこしくてしっかり出来ているのだが、そんなことはすぐに忘れてしまう。
ミーハーな観点で言えばスティーブ・ブシェミが台詞を一つ言うだけでうれしい。ウォルターのブチギレぶりも段々楽しくなってくる。デュードのふてぶてしさや馬鹿さが段々男の魅力にみえてくる。他にも話のかみ合わない登場人物が目白おしだ。だが、なんだかんだできちんとかみ合っている。だから慌てるこたあない。
あらゆる方向で間違っているように見えるデュードたちだが、物語の語り部であり、劇中で一番渋く格好のいい男がこういうのだ。「あんたのスタイル好きだぜ、デュード」
近年のカルト映画の代表ということだったが、まさしくその通りなのだろう。だいたいにおいて日々の生活で映画くらいしか楽しみがない僕のような若者にとっては、これはとてもありがたい映画なのである。
なんとこの映画のファンによって、毎年リボウスキ・フェスティバルというコスプレボーリング大会が開かれているというのだから、その価値は計り知れないのだ。
- [2009/11/23 19:26]
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ミラーズ・クロッシング
![]() | ミラーズ・クロッシング スペシャル・エディション [DVD] (2003/11/21) ガブリエル・バーンアルバート・フィニー 商品詳細を見る |
監督・脚本・製作:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出演:ガブリエル・バーン、ジョン・タトゥーロ
禁酒法時代、アメリカ。アイルランド系マフィアのボス、レオ(アルバート・フィニー)とその参謀で右腕のトム・レーガン(ガブリエル・バーン)。彼らのもとに尋ねてきたのは、最近力をつけてきたイタリア系マフィアのボス、キャスパー(ジョン・ポリト)。キャスパーはレオに、八百長の邪魔をするバーニー(ジョン・タトゥーロ)を引き渡すように要求する。しかしバーニーは、レオの愛人ヴァーナ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)の弟。レオはこの要求を突っぱねる。しかしトムはこれが原因でキャスパーと抗争になることを危惧する。そして、それは現実となり…
あらすじだけみるとギャングの抗争映画にみえるが、実際はそうではない。その中で一人の男がなにをするかという心理映画である。
昔シャーマンキングで、初めて映画を観た阿弥陀丸(シャーマンキングの登場人物)が「一人の人間の人生がこう、ぎゅっと詰まっているような…!」といってとても感動しているシーンがあったのだが、映画というのは基本的にそういうものだと思う(もちろん、そうじゃないものもあるが)。
この映画でいうところのその一人の人間とは、当然主役であるトム・レーガンなのだが、彼のことをこの映画で理解しきるのは、多分到底無理である。
おそらく彼はこの劇中で最も賢い人物であり、その気になれば自分の思い通りになんでもこなせるような男だろう。頭のいい男の考えることは分からないとでも言うか、どこからどこまでが彼という男の真実なのか、という部分を観ていく映画である。見方によっては英雄にも無能にも見えるのが面白いところだ。
観客がすることは「トム・レーガンを何処まで信じ、何処まで疑うか」という選択することだ。
とまあ基本的にはトムの物語なのだが、その彼の周りを囲むのはとんでもない連中ばかりである。
特に、トムのボスであるレオが活躍するシーンはアクション映画の爽快感的な観点からいっても最高だ。
基本的にはとてもセンスがいい映画で、淡々とした色調や演出なのだが、その1カット1カットがとてもスタイリッシュ。また、これはシリアスの裏にコメディ要素も割りと含んでいて、実はシュールな演出だったり、ぶっとんでいたり。そういう要素を時たま挟んでくるのが憎い。
- [2009/11/22 20:02]
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セント・オブ・ウーマン
![]() | セント・オブ・ウーマン/夢の香り 【プレミアム・ベスト・コレクション1800】 [DVD] (2009/07/08) ジェームズ・レブホーンフィリップ・ホフマン 商品詳細を見る |
監督 マーティン・ブレスト
出演者 アル・パチーノ、クリス・オドネル
気難しく盲目の退役軍人フランク(アル・パチーノ)と、アルバイトで彼の面倒を見ることになった高校生チャールズ(クリス・オドネル)。
ある日チャールズは金持ちの同級生が校長にいたずらを仕掛けるのを目撃してしまう。犯人が誰か口を割ればハーバードへの推薦をするという校長の甘言と、友人を売るのかという問題の狭間でゆれるチャーリー。
そんな中、フランクはチャールズを無理やり連れ、ある計画のためにニューヨークへと旅立つが…
年齢も境遇も性格もまるで違う二人が次第に心を通わせる話。王道といえば王道だが、人物描写と演技力の確かさによる、とても引き締まった映画といえる。
公開順でいうと、この前の「カリートの道」のひとつ前だったらしい。約一年の違いしかないのに、カリートとはまるで別人にみえて相変わらず凄い。今までアル・パチーノに対しては絶賛する以外のことをしていないような気がするが、とにかく凄いのである。盲目ということで、視線の演技はできないはずなのだが、”かっ”と見開いた目に込められた「フランク・スレード中佐」の力の表現が本当に凄まじい。軍人にしか聞こえないような台詞の発声といい、アル・パチーノを観たくて観ていた私としてはとても満足だった。
究極的に言えばアル・パチーノを観る映画ともいえてしまうが、それを引き出せる物語が上手いということなのだ。ファンなら間違いなく楽しめるし、ファンじゃないならファンになれる。ということ。
- [2009/11/20 23:00]
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